朝日新聞(山梨版)に連載中の「やまなしこの一冊」の21回目です。
 
今回は県立文学館で開催中の「津島佑子展」を意識して書きました。
http://www.bungakukan.pref.yamanashi.jp/exhibition/2017/07/post-46.html
 
前年にこのコーナーで津島佑子著(太宰の次女)の『火の山』を取り上げたので、今年は妻の美知子について書きました。
 
記事では最後の三行でなかば強引にこの展覧会につなげた感じもありますが、これを読んだ文学館の課長さんが、わざわざ御礼の挨拶に来てくださいました。
 
この連載を毎回読んでいるばかりか、マチコレの連載も全て読んでいると仰って驚きました。(昨年、一昨年の私が書いたコラムまで覚えてらしゃいました)
 
先日、はじめて会った他紙の新聞記者さんも「全て読んでいる」と感想まで交えてお話して下さったりと、
黙ってはいても、意外に読んでくれる人が沢山いる…
うかつには書けないなあと思いました。
 
それはさておき、
この本は、はっきり言って、むっちゃ面白いです。
 
妻から見た太宰治。
太宰の妻の津島(旧姓:石原)美知子は甲府の人です。
 
全編を通して、太宰の何ともおかしみのある言動と
それだけでは済まされない妻から見た現実生活の様子が描かれているのですが、
真面目な筆致なだけに余計にコミカルさを生んでいます。
 
色々と面白い点はあるのですが、
たびたび出てくるのは、
太宰が自分勝手に飲み歩いて散財するのですが、
子供を背負い生活を切り盛りをする
妻の生活必需品にはめちゃケチなところです笑
 
太宰の才能にすごいと思いながらも
時々「いいかげんにしろよ」的なツッコミがたまりません。
 
太宰を通してみる昔の戦時中の甲府の様子、七夕空襲での千代田村への避難、太宰の実家である疎開先の「津軽」の民俗風習の面白さ
(甲府の人から見た津軽への新鮮な驚きは、現代の私たちの視点と重なると思います)
 
そして、太宰はお弁当好きです。
新聞にも引用した「ワカオイのおにぎり」は最高に美味しそうです。
 
文学館の課長さん(実は私と同じ春日小学校出身!)とは
「本当に美知子はすごいよね」に始まり、文学談義から読書推進まで一時間も熱く語りあってしまいました笑
 
これから書店と一緒に何かが出来ていくといいと思いましたので、色々とその点もお話をしました。
 
今回の展覧会では津島佑子はもちろん
太宰や美知子関連のものも展示されるそうですので、
(私もこれから行きますが)みんなで文学館へ行きましょう♪
 
朝日新聞デジタルでも読むことができます。
http://www.asahi.com/area/yamanashi/articles/MTW20170929201860001.html