3月の読書会の開催 「忘れられた日本人」岩波書店 宮本常一著
3月の読書会が本日開催されました。
「忘れられた日本人」岩波書店 宮本常一著
素晴らしい選書でした。
地方を渡り歩き、そこに住む村の老人の話を掲載した本です。
現代で考えると、無茶苦茶で笑ってしまう場面も多いです。
だからといって、それが駄目かというとそうでもありません。
逆に現代を照らして私達が失ったものは大きいなと感じます。
聞き書きなので、雑多に色んな物がつめ込まれてます。
ですので、切り口が難しい本です。
失われた文化や風俗、宮本常一の意図、学問や研究として等々、
様々な角度から話は盛り上がりました。
しかし、一番の魅力はどの村人の話も抜群に面白いことです。
語りが面白く、目の前に当時の人がイキイキと動くようです。
昔はこういう人や逸話が沢山あったんだろうなあ。
地域が平均化してきて、開発されつくしてしまうと、
こういう面白い文化もなくなるのでしょうね。
だからといって、この時代に帰りたくはないし。
(こういう点からも話せそうですね。)
全編に渡って面白さ満載の本ですが、私の好きな所を幾つか。
●本日の一番人気は「土佐源氏」の話でした。
橋の下に住む盲目の浮浪者に著者が訪ねていき、
その人の半生を聞きます。
とりあえず、この章だけでも読むと
面白くてやめられなくなるかもしれません。
「まじかよ」と言ってしまうような、驚きの連続です。
●話が決まるまで、議題に関係ない周辺の話なども沢山出ながら、
3日も4日も話して決める話。「名倉談義」
●御一新の時のお触れの意味を間違えて、昼も夜も交わって、
良い時代になったと喜んでいたら、警官に怒られた話。
●大工の技術を身につけて、全国やを渡り歩いた話。「世間師1」
●没落した家に朝日が当たっていた。
その家の前の水田の水が反射して、
余計にその家が輝いていた。
その家の働き者の息子にに教えてあげたら、
そのことを知らなかった。
一緒に朝日をまって、家を見たら確かに光輝いていた。
「お前の家はそのうちに良い事があるぞ」と言ったら、
本当に良くなった。
↑このくだりは情景が目に浮かぶようで本当にいいので、ぜひ読んで欲しいですね。
話題になるトピックが沢山なので
読書会も盛り上がらないわけはないですね。
時間が足りないのでもっと長くやってもいいかなと思うような最近の読書会です。